東日本大震災が起こった9年前のあの日
あの金曜日の昼下がり
あの瞬間
僕はグランパーク東宝8という映画館で
映画『英国王のスピーチ』を観ていた。
まだ本編が始まる前だったけど
突如として激しい揺れにみまわれ
吊り下げられたスピーカーが
グラングラン揺れた。
あ,ここで死ぬんだなって…
なぜか冷静な僕。
まもなく客電が灯り
劇場の係員が建物の外へと誘導する。
不安気な人々。
しばらくしてスタッフの案内により
料金払い戻しをして帰路につく人々。
僕はふと思い出した
あ,まだ飲んでないコーラ
座席に置いてきたし😫
スタッフに
「あのぅ,,座席にコーラ忘れてきちゃったんですけど
取りに行ってもいいですか?」
と。
意外にもオッケーをいただけたので
だーれも居なくなった劇場に戻ったら
いくつものポップコーンやらドリンク類が置き去りになっていた。
いざって時,人はポップコーンとか忘れちゃうんだなって。
そして僕はコカコーラを飲む。
東北地方で数分後におこる津波のことなど
想像だにせずに。
その劇場は2日後の日曜日に閉館予定だったのが繰り上げで
その地震をもって長い歴史に幕を下ろした。
あれから9年
建物はそのまま残っていたけど
ついに取り壊されることに。
あの位置はスクリーン1だったか
スクリーン5だったか
全ての座席は撤去されていたけど
僕の記憶というタイムマシーンが
お気に入りの場所
後ろから2列目の真ん中らへんにいるはずの
僕に会わせてくれたような気がした。
あの大好きだった劇場
さようなら
そして
ありがとう。